人生は、決して順風満帆に進むものではありません。私自身、それを身をもって痛感してきました。
小学生の頃の夢は刑事になることでした。
私は昔、網膜剥離という病を患い、両目とも視力を失いました。突然、世界が暗闇に包まれる感覚。眼球に麻酔を打たれ、そのまま見えている状態で眼球にメスを入れられるという、言葉では説明できないほどの恐怖と不安を味わいました。視界を失うことで、同時に心まで折れそうになったことを、今でも鮮明に覚えています。
刑事試験を受けるには、裸眼で0.1ないと受けられず、手術のせいで刑事になることはできなくなりました。
しかし、その出来事は私に、目に見えるものだけがすべてではないという、人生の本質を気づかせてくれました。見えなくなったからこそ、人の痛みや想い、目には見えない“本当に大切なもの”が、少しずつ見えるようになったのです。
試練はそれだけではありませんでした。起業したものの事業はうまくいかず、29歳の時には月3万円で1年を生きるという生活を送りました。何度も「もう終わりだ」と思いました。しかし、そんな中でも、支えてくれる仲間がいました。祖父との約束で、サラリーマン時代に無理をして買ったBMWも、社員の給料を守るために手放しました。悔しさと同時に、「人を守る覚悟」が本当の意味で自分の中に芽生えた瞬間でもありました。
これらの経験が私を、人として、経営者として大きく成長させてくれたのだと、今では感謝しています。
私は、「世のため、人のため、子どもたちのために頑張る人」を一人でも多く増やしたいと願っています。どんなに辛くても、どんなに苦しくても、挑戦し続ける人が増えれば、この社会はもっと温かく、力強く、未来に希望が持てる場所になると信じています。
また、家族を大切にする人を増やしていきたいです。
見えるものに惑わされず、本質を見極め、自分の信じる道を進む。私自身、見えなくなったことで、その覚悟がより一層強くなりました。
これからも私は、試練や困難に真正面から向き合い、「見えない世界」だからこそ見える未来を信じ、歩み続けていきます。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
代表取締役 永吉 拓哉